「この土地に、アパートを建てませんか」。提案の席で図面を広げても、土地オーナーの反応はなかなか読めません。

賃貸住宅の計画には、パースが活躍する場面が2回あります。1回目は建てるかどうかを決めてもらう提案の段階、2回目は完成前から入居者を集める募集の段階です。賃貸アパートのパースは、見る相手がまったく違うこの2つの場面を、同じ3Dモデルからつなぐことができます。

この記事では、それぞれの場面で描くべきカットと見せ方、募集広告に使うときの注意点、制作の進め方と費用の目安をまとめました。

れんが調の外壁と縦に並ぶバルコニーが特徴の低層集合住宅を、通り沿いから描いた外観パース
れんが調の外壁と縦に並ぶバルコニーが特徴の低層集合住宅を、通り沿いから描いた外観パース

賃貸住宅でパースが使われる2つのタイミング

同じ建物のパースでも、誰に見せるかによって伝えるべきことが変わります。

土地オーナーへの提案で見られているのは、「この土地にこの建物を建てて大丈夫か」という判断材料です。周辺の街並みの中でどう見えるか、建物の格が土地の価値に見合っているか。投資を決める立場からの目線です。

一方、入居者募集で見られているのは、「ここに住みたいか」という生活者の目線です。部屋の広さ、日当たり、設備、エントランスの雰囲気。外観よりも、室内の情報が判断を左右します。

この違いを最初に意識しておくと、何枚をどのカットで用意するかが整理しやすくなります。

土地オーナーへの提案で使う

土地活用の提案では、図面と収支計画だけで判断を求めることが少なくありません。けれど土地オーナーの多くは、図面を読み慣れているわけではありません。完成後の建物が自分の土地にどう建つのかが一枚で見えると、話が具体的に進みやすくなります。

提案用のパースで大切なのは、実際の敷地と周辺環境の中で描くことです。前面道路の幅、隣の建物との距離、通りから見たときの印象。どこにでもある背景の上に建物だけを描くと、自分の土地の話として受け止めてもらえません。

外観のデザインで迷っている段階なら、同じ3Dモデルのまま外壁の素材や色だけを変えた2案を並べる方法もあります。案の違いが一目で比べられるので、オーナーとの打ち合わせで方向性を決めやすくなります。

車が行き交う前面道路から見上げた中層の集合住宅の外観パース。周辺の建物との関係がわかる構図
車が行き交う前面道路から見上げた中層の集合住宅の外観パース。周辺の建物との関係がわかる構図

入居者募集で使う

完成前から入居者を募集する先行募集では、ポータルサイトの物件ページにパースを掲載することになります。部屋を探す方は、検索結果の写真で候補を絞り込みます。完成前で写真がない物件は、それだけで比較の対象から外れやすくなります。

募集で優先したいのは、室内のカットです。外観は物件の第一印象をつくりますが、最終的に住むかどうかを決めるのは室内の情報です。外観1枚に、代表的な住戸タイプの室内を組み合わせる構成が基本になります。

賃貸アパートのパースで押さえたい室内のカット

室内のパースは、部屋の入口側から窓に向かって見るアングルが基本です。部屋の奥行きと窓からの光が同時に伝わり、間取り図の帖数だけでは想像しにくい広さの感覚が伝わります。

家具は、ベッドとソファなど、部屋の使い方がわかる最低限のものに留めるのがおすすめです。置きすぎると実際より狭く見え、内覧のときに印象が下がる原因になります。キッチンや水回りの設備を売りにしている物件なら、設備がよく見える2枚目を加えると効果的です。

夕暮れの中で窓に明かりが灯り、住まいの雰囲気が伝わる住宅の外観CG
夕暮れの中で窓に明かりが灯り、住まいの雰囲気が伝わる住宅の外観CG

外観は、昼の1枚に加えて夕景を用意する方法もあります。窓に明かりが灯った姿は、そこに人が暮らしている様子を想像させ、住まいとしての温かさを伝えてくれます。

募集広告に使うときは、時期のルールにも注意が必要です。宅地建物取引業者が行う広告は、宅地建物取引業法の第33条により、工事が完了していない建物について建築確認などの処分を受けた後でなければ出せません。賃貸の募集広告もこの対象になるため、掲載開始の予定日から逆算してパースの制作日程を組むのが現実的です。

静止画以外の見せ方

室内の広がりや動線をもっと伝えたい場合は、静止画以外の選択肢もあります。部屋の中を見回せるバーチャルモデルルームや、玄関から部屋へ歩いていく映像を見せるウォークスルー動画です。

導入費用や集客での使い方はバーチャルモデルルームの記事で、動画の制作費用や賃貸物件での活用例は建築ウォークスルー動画の記事で紹介しています。まずは静止画で募集を始め、反応を見ながら追加するという進め方もできます。

青空を背景に白い外壁と規則的な窓が並ぶ中層集合住宅を見上げた外観パース
青空を背景に白い外壁と規則的な窓が並ぶ中層集合住宅を見上げた外観パース

制作の進め方と費用の目安

制作に入る前に、配置図、各階の平面図、立面図、外壁や屋根の仕上げがわかる資料、住戸タイプごとの間取り図を揃えていただけると、スムーズに進められます。提案用のパースでは、敷地周辺の写真や地図があると、周辺環境を実際に近い形で描けます。

費用は、建物の規模によって目安が変わります。当社では、一般住宅やマンション向けのGrade Bが1アングル40,000円(初回20,000円)、商業施設や高層ビル向けのGrade Aが1アングル60,000円(初回30,000円)です。修正はいずれも3回まで含まれています。詳しくは建築パース外注のご案内ページをご覧ください。

提案用に作った3Dモデルは、そのまま募集用のパースにも活かせます。提案の段階から募集までを見据えて依頼していただくと、二度手間を減らせます。

よくあるご質問

Q. 外観と室内、どちらを先に作るべきですか?

A. 土地オーナーへの提案が先なら外観、入居者募集が目前なら室内からがおすすめです。どちらも必要になることが多いため、最初の段階で両方の予定をお知らせいただくと、制作の順番を組みやすくなります。

Q. 住戸タイプが3種類あります。すべて描く必要がありますか?

A. 募集の反応を左右するのは、主力になる住戸タイプです。まずは戸数の多いタイプを1枚描き、必要に応じて他のタイプを追加するのが無駄のない進め方です。

Q. 提案の段階で、まだ外観のデザインが決まっていません。

A. 決まっていない段階こそ、パースが役立ちます。外壁の色や素材を変えた比較案を用意すると、オーナーと方向性を決める材料になります。

まとめ

賃貸アパートの計画では、土地オーナーへの提案と入居者の先行募集という、見る相手がまったく違う2つの場面でパースが活躍します。提案では実際の敷地の中での外観を、募集では暮らしが想像できる室内を中心に描くこと。同じ3Dモデルを両方に活かせば、計画の初めから募集まで一貫したイメージで伝えられます。

Basic9studioによる賃貸住宅の外観パースは外観パース制作サービスで、モデルルームの代わりに使える動画やVR360はサービス一覧で詳しくご覧いただけます。提案や募集の予定時期がわかっていれば、それに合わせた進め方をご相談いただけますので、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。