注文住宅の完成イメージを施主と共有できる外観パース。庭までつくり込んだ事例
注文住宅の完成イメージを施主と共有できる外観パース。庭までつくり込んだ事例

外壁の色を決める打ち合わせで、ご主人はグレーがいいと言い、奥様はベージュがいいと言う。サンプルの小さな板を眺めても、結論は出ない。「持ち帰って考えます」。3週間後、同じ議題がまた机に戻ってくる。

注文住宅の打ち合わせが長引く理由は、施主が優柔不断だからではありません。判断の材料が、図面とサンプルしかないからです。訓練を受けていない人が、平面図から暮らしの風景を立ち上げるのはほとんど無理です。想像できないものを決めろと言われている。長引くのは当然です。

注文住宅 パースは、この構造を変える道具です。この記事では、住宅CGIを作る側の立場から、打ち合わせのどの段階で、どんなパースを、どう使うと合意形成が速くなるのかを整理します。工務店やハウスメーカーの方はもちろん、これから家を建てる施主の方にも役立つ内容です。

打ち合わせが進まない本当の理由

図面は情報として正確です。でも施主にとって、図面は記号の集まりです。LDKが16帖と言われても、その広さに家具を置いた景色は浮かびません。吹き抜けの開放感も、西日の強さも、図面の上には存在しません。

想像できないまま契約が進むと、もっと怖いことが起きます。完成後の「思っていたのと違う」です。引き渡しのあとに発覚するイメージ違いは、直すなら実工事になります。図面の段階なら線を1本動かすだけだった変更が、数十万円の工事に化けます。パースは、このズレをいちばん安く直せる段階で見つけるための道具でもあります。

段階別。注文住宅のパース活用法

間取り確認の段階。ボリュームがわかる1枚を

プランが2、3案に絞られた段階で、外観のボリュームパースを用意します。この段階の絵は、作り込みより速さが大事です。屋根の形、窓の位置、駐車場との関係。施主は初めて「自分の家の姿」を見ます。ここで感情が動くと、その後の打ち合わせの空気が変わります。

仕様決めの段階。比較パースで迷いを終わらせる

外壁の色、屋根の素材、床の色。この段階の武器は、A案とB案を同じ構図で並べた比較パースです。グレーの外観とベージュの外観を並べて見せる。small sampleを見て3週間迷っていたご夫婦が、並んだ2枚を見て5分で決める。私たちが何度も見てきた光景です。

内装も同じです。床をウォールナットにするかオークにするか。キッチンの面材を白にするか木目にするか。内観パースの比較は、ショールームを回るより速く、確実に「うちの場合」を見せてくれます。

外壁の色や素材の違いはパースで並べて比較すると判断しやすい
外壁の色や素材の違いはパースで並べて比較すると判断しやすい

最終確認の段階。夜景と外構まで見せる

着工前の最終確認では、昼景に加えて夕景や夜景のパースが効きます。夜、仕事から帰ってきたときに見える我が家。照明が灯った窓。この絵は仕様確認の道具であると同時に、着工を前にした施主の不安を、楽しみに変える力を持っています。外構と植栽まで入れておくと、引き渡し後の「こんなはずでは」を外構でも防げます。

打ち合わせでパースを使うときの3つの注意点

  • 図面が動いている段階では、パースの版も管理する。古い版の絵で話すと、決定事項が混乱します。どの図面のどの版から作った絵かを、必ず共有してください。
  • 実物と色が完全一致はしないことを先に伝える。モニターと印刷物、現物の素材では見え方が変わります。最終の色決めはサンプル現物と併用するのが誠実な使い方です。
  • パースを作る範囲を絞る。全部屋を作る必要はありません。迷いが出やすいLDKと外観、この2つに絞れば費用対効果は最大になります。

パースの費用は、打ち合わせの回数で回収できる

パースには当然、制作費がかかります。でも計算してみてください。決まらない打ち合わせが1回減れば、担当者の半日と、施主の休日の半日が戻ってきます。着工後の変更工事を1件防げば、数十万円の損失と工期の遅れを防いだことになります。

実際、当社のお客様の工務店では、色決めの打ち合わせに比較パースを標準で入れるようになってから、仕様決定までの打ち合わせ回数が目に見えて減ったと聞いています。パースは営業ツールである以前に、打ち合わせの生産性を上げる道具です。成約率という観点での使い方は、「戸建て住宅 建築パースで成約率を高める4つの方法」で詳しく書いています。

打ち合わせ資料として使いやすい内観パース。階段まわりの納まり確認
打ち合わせ資料として使いやすい内観パース。階段まわりの納まり確認

外注でパースを用意する方法

社内にCG担当がいなくても、打ち合わせ用のパースは外注で十分回せます。ポイントは2つだけです。打ち合わせの日程から逆算して発注すること。そして図面と仕上げ表を一式で渡すことです。必要な資料は「建築パースの依頼に必要な図面・資料一覧」にまとめました。

Basic9studioは福岡を拠点に、工務店やハウスメーカーの打ち合わせ用パースを数多く制作しています。スタッフは建築教育を受けたメンバーなので、図面のやり取りに通訳は要りません。比較パースのご依頼では、2案目以降の追加費用を抑えたプランもご用意しています。詳しくは建築パース制作サービスをご覧ください。

よくあるご質問

打ち合わせ用なら、どのくらいの品質が必要ですか

段階によります。間取り検討ならボリューム確認のラフで十分です。色決め以降は、素材の質感がわかる標準品質以上をおすすめします。全部を最高品質にする必要はありません。

施主が個人で依頼することもできますか

できます。実際、工務店から出てきた図面を持って、ご自身でパースを依頼される施主の方は増えています。数万円の出費で数百万円の後悔を防げるなら、決して高い買い物ではないと思います。

間取りがまだ確定していなくても作れますか

作れます。検討段階のスケッチからでも制作できます。ただし図面が確定して形が変わると作り直しが発生するので、どの段階の検討材料として使うかを最初に決めておきましょう。

1枚だけの依頼でも受けてもらえますか

受けています。外観1カットからのご依頼も多いです。打ち合わせの山場に合わせて、必要な1枚を必要なタイミングで用意する使い方で十分機能します。

見えれば、決められる

注文住宅の打ち合わせで施主が決められないのは、見えていないからです。間取りの段階でボリュームを見せ、仕様の段階で比較を見せ、着工前に完成の姿を見せる。段階ごとに適切な1枚があるだけで、打ち合わせは会議から、家づくりを楽しむ時間に変わります。

決められない打ち合わせに心当たりのある方は、次の案件で1枚だけ試してみてください。図面と要望をいただければ、打ち合わせの日程に間に合う形でご提案します。

完成した注文住宅の夜景パース。照明の灯った外観
完成した注文住宅の夜景パース。照明の灯った外観