CGパースの質感とは、床の木目や壁の塗り、ソファの布、金属の光り方といった素材の見え方をCGで再現したものです。マテリアル表現と呼ばれることもあります。同じ間取り、同じ照明でも、質感の作り込みによってパースの説得力は大きく変わります。
質感の良し悪しは、見る方が無意識に感じ取ります。木目が実物より大きいだけで模型のように見え、壁が完全に均一なだけで作り物の印象になります。逆に、素材が正しく表現されたパースは、実際の空間の写真と並べても違和感がありません。
この記事では、「CGパース 質感」をテーマに、CGパースの質感がどのように作られているか、依頼する側が確認したい3つの視点、素材別の表現のポイント、そしてイメージ通りに仕上げてもらうための資料と伝え方をご説明します。照明の話は「フォトリアルCGとライティング」に譲り、ここでは素材の側に絞ります。

目次
CGパース 質感はどのように作られているか
CGの中の素材は、一枚の写真を貼っているわけではありません。色、反射のしかた、表面の凹凸、透け方といった性質を、それぞれ別の情報として設定しています。この設定の組み合わせが、光を受けたときの見え方を決めます。
| 要素 | 決めていること | ずれたときの見え方 |
|---|---|---|
| 色(ベースカラー) | 素材そのものの色味 | 品番と違う色に見える。写真の色被りをそのまま使うと起きやすい |
| 反射(光沢とざらつき) | 光をどれくらい鏡のように返すか | 床が水たまりのように光る、布がビニールのように見える |
| 凹凸(バンプやノーマル) | 目地や織り目、木目の溝といった細かな起伏 | 平らすぎて印刷物のように見える |
| スケール | 模様の実寸。木目の幅やタイルの大きさ | 空間の広さが実際と違って感じられる |
| 透け(透明度) | ガラス、レースカーテン、和紙などの光の通し方 | ガラスがプラスチック板に見える |
制作会社によって使うソフトは異なりますが、質感を構成する考え方はほぼ共通です。依頼する側がこの5つの要素を知っておくと、修正のときに「どこがどう違うのか」を伝えやすくなります。

CGパースの質感を確認するときの3つの視点
提出されたパースを確認する際、全体の印象だけで判断すると「なんとなく安っぽい」という感想で終わってしまいます。次の3つの視点で見ると、具体的な指摘に変えられます。
素材の大きさは実寸どおりか
フローリングの1枚の幅、タイルの目地の間隔、レンガの段数。これらが実物とずれていると、部屋全体の広さの感覚まで変わってしまいます。図面の寸法と照らし合わせて、模様の大きさが合っているかを最初に見てください。
光の当たり方と素材の見え方が合っているか
同じ無垢材でも、窓際で日差しを受ける部分と、奥の暗い部分では見え方が変わります。窓際なのに反射がまったくない、暗い場所なのに全体が均一に明るい、といった状態は質感と光が噛み合っていないサインです。素材だけを直すのか、照明も含めて調整するのかを制作側と相談してください。
実際に使われている空間らしさがあるか
新品の建材でも、実物には微妙なムラや汚れ、繰り返しにならない自然なばらつきがあります。CGでこれを省くと、清潔ではあるものの現実味のない空間になります。壁の塗りムラ、木目のパターンの繰り返し、床の反射のばらつきなど、細部に自然な揺らぎが入っているかを見てください。

素材別に見る質感表現のポイント
住宅や店舗の内観パースで扱うことの多い素材について、制作の現場で気をつけている点と、依頼時にお伝えいただきたい情報をまとめました。
| 素材 | 表現で差が出る点 | 依頼時に伝えたい情報 |
|---|---|---|
| フローリング | 板幅と長さ、節の量、艶の程度、板ごとの色差 | メーカーと品番、塗装の種類(オイルかウレタンか) |
| タイルと石材 | 目地の幅と色、表面の磨き方、石なら模様の流れ | サイズと貼り方(芋目地か馬目地か)、目地材の色 |
| 塗り壁とクロス | 塗りのムラ、クロスの織り目の細かさ、光の吸収具合 | 品番、または実物サンプルを日光の下で撮った写真 |
| 布(ソファ、カーテン、ラグ) | 織りの粗さ、毛足の長さ、しわの入り方、透け具合 | 素材名(リネン、ベロアなど)と色、参考商品のURL |
| 金属 | 鏡面かヘアラインか、角の丸み、映り込みの内容 | 仕上げの名称(黒皮、ステンレスHLなど) |
| ガラス | 厚みによる緑がかり、映り込みと透けのバランス | 種類(透明、型板、フロスト)と厚み |
どの素材にも共通するのは、品番か実物の写真があれば再現の精度が大きく上がるということです。逆に「明るい木目」「高級感のある石」といった言葉だけの指定は、制作側の解釈に幅が生まれ、修正の回数が増えやすくなります。

質感の指定で用意しておきたい資料
質感の再現は、資料の質に比例します。次の資料を最初にご提出いただけると、初回の提出画像の精度が上がり、確認の往復を減らせます。
- 仕上げ表。部位ごとにメーカー名と品番が入ったもの。
- 実物サンプルの写真。できれば自然光の下で、スマートフォンのフィルターをかけずに撮影したもの。
- 参考写真。過去の施工事例や雑誌の写真など、目指す雰囲気がわかるもの。「この床の艶」「この壁の質感」と部位を指定していただくと確実です。
- 優先順位。予算や納期に限りがある場合、どの素材を最も丁寧に見せたいかをお知らせください。
- 出力先。ウェブ掲載か、カタログ印刷か、大判のパネルかによって、作り込む解像度と細部の量が変わります。
質感の修正依頼をスムーズに進めるコツ
質感の修正は、伝え方によって1回で終わることも、3回かかることもあります。制作側の立場から、次のような伝え方をおすすめしています。
- 対象と方向を組み合わせて伝える。「床の艶を半分くらいに抑えてください」「ソファの布をもう少し粗い織りにしてください」のように、どこを、どちらへ、どの程度かを含めます。
- 画像で示す。提出画像に印をつける、または参考写真を添えると、言葉より正確に伝わります。
- 社内の意見をまとめてから返す。担当者ごとに別々の指示が届くと、方向が定まらず修正が長引きます。
- モニターの違いを前提にする。色の最終判断は、実物サンプルと照らし合わせて行ってください。
修正依頼の伝え方全般については、「建築パースの修正依頼のコツ」で詳しくまとめています。

Basic9studioの内観パースにおける質感表現
Basic9studioは福岡を拠点に、日本とベトナムの2拠点で内観パースを制作しています。スタッフは建築とデザインの教育を受けており、仕上げ表の品番から素材を読み取ったうえでマテリアルを設定します。日本のメーカーの床材やクロスの表現には特に慣れています。そのほかのサービスはサービス一覧にまとめています。
料金は1カットあたりGrade Bが40,000円から、Grade Aが60,000円から、Grade Sが100,000円からで、質感の作り込みの深さはグレードによって異なります。社内検討用であればGrade B、カタログやウェブ掲載用であればGrade A以上をおすすめしています。
詳しくは料金ページと、内観パース制作サービスのページをご覧ください。
よくあるご質問
サンプル用の写真はどのように撮ればよいですか
屋外の日陰か窓際の自然光で、真上から1枚と斜めから1枚を撮ってください。斜めの写真で艶と凹凸がわかります。蛍光灯の下やフィルター付きの写真は色が変わるため、避けていただくのが確実です。
質感にこだわると費用や納期は変わりますか
変わります。素材ごとの検証と調整に時間がかかるため、上位グレードでは納期も費用も標準より多く見込む必要があります。用途に対して必要な水準を選ぶことが、無駄のない依頼につながります。
印刷すると画面と色が違って見えるのはなぜですか
モニターは光で色を表示し、印刷物はインクで色を再現するため、原理的に同じ色にはなりません。印刷を前提とする場合は、事前にお知らせいただければ印刷向けの色調整を行ったデータをお渡しします。
素材がまだ決まっていない段階でも依頼できますか
ご依頼いただけます。候補が複数ある場合は、同じ構図で素材だけを差し替えた比較パターンを作成する方法が便利です。実物サンプルで迷っている段階こそ、パースで並べて見ると判断しやすくなります。
まとめ
CGパースの質感は、色、反射、凹凸、スケール、透けという要素の組み合わせで決まり、その精度は品番や写真といった資料に左右されます。依頼する側が「大きさは合っているか」「光と合っているか」「使われている空間らしさがあるか」の3点で確認するだけでも、仕上がりは着実に良くなります。
仕上げ表と参考写真をお送りいただければ、素材の表現方法を含めてご提案いたします。内装の検討段階でも、素材の比較用パースからご相談いただけます。ご相談はお問い合わせフォームからお送りください。
