
写真のようなリアルさだけでは、良いパースとは言えない
建築パースの世界では「リアルさ=クオリティの高さ」と語られることが多い。しかし、プロの設計者やCGアーティストの間では、こうした考え方は必ずしも正しくない。
特に、フォトリアルCGパースにおいては、その重要性がより一層強調される。
リアルであることは必要条件にすぎず、本質ではない。
なぜなら、**建築パースの目的は“再現”ではなく、“伝達”と“説得”**だからだ。
● リアルでも「伝わらない」パースは存在する
近年のソフトウェア進化により、誰でもリアルなCGを作ることが可能になった。
しかし、リアルさだけを追求したパースは、次のような問題を抱えることが多い。
印象に残らない
どこを見ればいいか分からない
設計意図が伝わらない
ただの“完成予想図”で終わってしまう
リアル=情報量が多い。しかし情報量が多い=伝わるとは限らない。
● 「良いパース」に共通するものとは?
プロジェクトを前へ進めるパースには、共通する要素がある。
良くないパース 良いパース
ただリアルなだけ 意図が明確
光の設計が弱い 光が空間を語る
構図に意味がない 視線誘導がある
感情がない 物語性がある
良いパースとは、見る人に理解と感情を届けるパースである。
● 写真のようなリアルより「建築的リアル」を目指すべき
フォトリアルCGパースの重要性
本当に必要なのは、建築を正しく伝えるリアリティだ。
構造が理解できる光
素材の質が伝わる反射と陰影
空間のスケールが感じられるレイアウト
コンセプトが伝わる時間帯や気候表現
これらは「見た目のリアル」ではなく、建築のリアルだ。
● 結論:良いパースとは「設計の価値を伝える表現」である
パースはプレゼン資料でも広告でもなく、建築のための表現である。
だからこそ、最終的な評価基準はただ一つ。
クライアントの理解を深め、プロジェクトを前に進める力があるか。
そのために必要なのは、フォトリアルではなく、**設計意図を描く“表現”**だ。
● Basic9studioの視点
私たちは、こう考えています。
✅ パースは「建築の言葉」
✅ 必要なのは「伝わるリアル」
✅ 美しさより「説得力」
✅ 光と構図は設計と同じくらい重要
プロジェクトの魅力を最大化したい設計者・デザイナーの方は、お気軽にご相談ください。

