「パースって、頼んでからどのくらいで出てくるものなんでしょうか」

初めてご依頼くださる方から、よくいただく質問です。そしてこの質問の裏には、たいてい、もうひとつの不安が隠れています。

——途中で「やっぱりこうしたい」と思ったとき、直せるのだろうか。

建築パースの制作は、いくつもの工程が積み重なってできています。そして工程によって、変更が簡単な段階と、そうでない段階があります。この見取り図を持っているかどうかで、進行のしやすさは大きく変わります。

今回はBasic9studioと一緒に、建築パース 制作の流れを7つのステップに分けて、実際の進み方と、それぞれの段階で気をつけたいことを見ていきましょう。

建築パース 制作の流れ
ヒアリングから納品まで、実際にはこう進みます

 

建築パース 制作の流れ、全体像

まずは全体を俯瞰してみましょう。大きく分けると、次の7つのステップで進みます。

建築パース制作の7ステップを番号順に並べた工程図
前半で決めたことが、後半の精度をそのまま左右します

ここで一点だけ、先にお伝えしておきたいことがあります。

この7つのうち、仕上がりを大きく左右するのは前半の1〜4です。レンダリングやレタッチは技術の見せどころではありますが、そこで挽回できる範囲には限りがあります。逆に言えば、最初のヒアリングと資料の準備が丁寧であるほど、後半がぐっと楽になります。

ステップ1〜2:はじまりは、対話と資料から

1. ヒアリング

いきなり図面をお預かりして作り始める、ということはしません。最初に伺うのは、次のようなことです。

  • このパースを、誰が見るのか:一般のお客さまか、社内の決裁者か、行政の担当者か。
  • どの媒体で使うのか:チラシ、ウェブ、大判の看板、プレゼン資料。仕上げの解像度も構図も変わります。
  • 何を伝えたいのか:立地の良さか、間取りの広さか、素材の質感か。

この三つが定まると、必要なカット数とアングルは自然と絞り込まれていきます。逆にここが曖昧なまま進むと、「きれいだけれど、使いどころがない絵」になりがちです。

2. 資料のご提供

そのうえで、制作に必要な資料をお預かりします。

  • 図面:平面図・立面図・断面図。CADデータがあれば精度と速度がともに上がります。建築分野におけるBIM・3Dデータ活用の動向は国土交通省 住宅・建築の公開資料が参考になります。
  • 仕上表:床・壁・天井の素材。型番まで分かると質感の再現度が変わります。
  • 照明計画:内観では、これが印象を決めるといっても大げさではありません。
  • 現地写真:外観では、周辺環境になじませるための重要な手がかりになります。

ステップ3〜5:かたちを起こし、光を当てる

3. モデリング

図面をもとに、立体を起こしていく工程です。建物本体だけでなく、外構、植栽、什器なども対象になります。

この段階で、図面上の寸法の食い違いが見つかることがあります。平面と立面で高さが合わない、といったケースです。設計図書の整合については日本建築学会の資料も参考になります。立体にすると矛盾が表面化するため、設計側の検図としても役に立つ場面があります。

4. カメラ・構図の決定

どこから、どの高さで見るか。ここが実質的に「絵の骨格」を決める工程です。

目線の高さひとつで印象は変わります。低めに構えれば建物は堂々として見え、高めから見下ろせば全体の配置が分かりやすくなります。使う媒体の縦横比に合わせて構図を組むのも、この段階です。

Basic9studioでは、この時点で候補アングルをご提示し、ご確認いただいてから先へ進みます。後の工程になるほど変更の手間が増えるためです。

5. マテリアルとライティング

素材を割り当て、光を設計する工程です。そして正直に申し上げると、パースの印象は、ここでほぼ決まります

同じモデル、同じアングルでも、朝の斜光と夕方の低い光では、まったく別の建物のように見えます。内観であれば、間接照明の有無だけで空間の格が変わって感じられます。

だからこそ、時間帯の選択は早めに決めておきたいところです。詳しくは建築パース制作サービスのページでも事例をご覧いただけます。

ステップ6〜7:仕上げて、お届けする

6. レンダリング

設定した情報をもとに、計算処理で画像を生成する工程です。ここは基本的にコンピュータの仕事になります。

解像度が高いほど、また光の反射計算が複雑なほど、時間がかかります。大判印刷用の高解像度データでは、相応の処理時間を見込んでおく必要があります。

7. レタッチと納品

生成された画像に、最後の調整を加えます。空の表情、植栽の量、人物や車の配置。全体のトーンを整えて完成です。

ご確認いただいたうえで修正を反映し、ご指定の形式でお渡しします。印刷用とウェブ用でデータを分けてお渡しすることも可能です。

「戻れなくなる」のはどの段階か

冒頭でお話しした不安——「途中で変更できるのか」という点に、ここで正面からお答えします。

工程別の変更コスト比較図
早い段階で決めるほど、選択の自由度は高いままです

早い段階で決めるほど、選択の自由度は高いままです

ざっくり言えば、構図が決まるまでは自由度が高く、ライティング以降は段階的に重くなっていきます

とくに注意したいのが「時間帯の変更」です。昼景として設計した光を夕景に変えるのは、色を変える作業ではなく、光の設計をやり直す作業になります。

逆に、植栽の量や人物の配置といった要素は、レタッチ段階でも比較的やわらかく対応できます。何が重くて何が軽いかを知っておくと、確認の優先順位がつけやすくなります

スムーズに進めるための、三つのコツ

  • 最初のヒアリングに、決裁者が同席する:後から方針が覆るケースの多くは、判断する人が最初の対話にいなかったことに起因します。
  • 参考イメージを言葉より先に渡す:「明るく」「高級感のある」といった言葉は、人によって指すものが違います。近い雰囲気の画像が一枚あるだけで、認識のずれが大きく減ります。
  • 確認のタイミングを決めておく:構図決定後とレンダリング後、この二回は必ず見ていただく。そう決めておくと、手戻りがぐっと減ります。

Basic9studio – 工程を見える化し、手戻りを減らすパートナー

スタジオアパートから大規模商業施設まで、Basic9studioは1,500件を超える建築ビジュアライゼーションを手がけてきました。その経験から私たちが大切にしているのは、「美しい映像は、リアルで、ちゃんと建てられて、そして人の心を動かせてこそ本当の価値がある」という考え方です。

  • 節目ごとの確認:構図決定後とレンダリング後に必ずご確認をいただき、認識のずれを早い段階で解消します。
  • 未確定でも進められる設計:仕様が固まりきっていない案件でも、仮設定から始めて段階的に精度を上げる進め方をご提案します。
  • 用途に合わせた納品形式:印刷用・ウェブ用・プレゼン用と、使う場面に合わせたデータをご用意します。

よくあるご質問

制作期間はどのくらいかかりますか

建物の規模、カット数、仕上げの精度によって大きく変わるため、一律ではご案内していません。ご相談の際に図面と希望カット数をお聞かせいただければ、具体的なスケジュールをお出しします。

CADデータがなく、紙の図面しかありません

対応可能です。紙図面からのモデリングも承っています。ただしCADデータをいただける場合と比べると、寸法の読み取りに時間を要する点はご了承ください。

途中で図面が変更になった場合はどうなりますか

変更の範囲と、そのときの工程によって対応が変わります。モデリング段階であれば比較的柔軟に反映できます。レンダリング後の大きな設計変更は、再制作に近い工程が必要になる場合があります。早めにご共有いただけると助かります。

アングルはこちらで指定できますか

もちろん可能です。ご指定がある場合は、その意図を伺ったうえで進めます。特に決まっていない場合は、用途に合わせた候補をこちらからご提案します。

修正はどの段階でお願いすればよいですか

構図決定後の段階が、いちばん自由度が高くコストも軽くなります。この時点で気になる点は遠慮なくお伝えください。後工程での修正も可能ですが、内容によっては時間を要します。

進め方から相談したい、という段階でも歓迎です

「何から準備すればいいか分からない」「図面はあるが仕上げが未定」——そうした状態からのご相談も日常的にお受けしています。

制作事例や対応範囲は建築パース制作サービスのページに、映像でのご提案は建築アニメーション制作にまとめています。

ぜひ一度Basic9studioにご相談ください。プロジェクトに合った進め方を、一緒に組み立てます。