
🎨 Beyond Photorealism — 写真のようなリアルを超えて
近年、フォトリアルな建築パース(Photorealistic Rendering)は、業界の“当たり前”となりました。
ソフトウェアやAIの進化によって、誰でもリアルなCGを作ることができる時代です。
しかし、「リアル=良いパース」ではありません。
本当に必要なのは、「リアルな再現」ではなく、設計意図を“表現”する力です。
🏗️ フォトリアル=情報量が多い、でも「伝わる」とは限らない
フォトリアルなCGは、美しく、正確で、見栄えもします。
しかし、それだけではクライアントの心を動かすことはできません。
パースの目的は、再現ではなく、伝達と説得です。
つまり、パースは「建築のプレゼン資料」ではなく、建築の言葉なのです。
一見完璧に見えるパースでも、感情やストーリーが欠けていれば、
人の記憶には残りません。
🌅 「Informative」と「Emotional」— 2つのパースの世界
ArchDailyの記事では、建築パースは大きく2種類に分けられると述べています。
- Informative Rendering:情報を正確に伝えるためのパース
- Emotional Rendering:感情や体験を伝えるためのパース
近年、この2つの境界は曖昧になりつつあります。
美しくリアルなパースでも、感情がなければ「伝わらない」。
逆に、感情のあるパースは、見る人に空間の“意味”を感じさせます。
🎥 ストーリーテリングがもたらす力
たとえば、アメリカのスタジオ Ten Over Media は、
建築パースに映画的な表現(シネマティック)を取り入れています。
夕日の光、自然なカメラアングル、人の気配など、
小さな演出が空間に“物語”を生み出します。
また、建築家 Paul Spaltman は、
パースを通じて地域社会とつながることを重視しています。
彼にとってパースは、「夢のビジュアル」ではなく、
“次の現実”を示す手段なのです。
🌿 「建築的リアル」を目指す
本当に目指すべきは、“写真のようなリアル”ではなく、
**建築を正しく伝えるリアル(建築的リアル)**です。
- 光が構造を語る
- 反射や陰影が素材の質感を伝える
- レイアウトが空間のスケールを感じさせる
- 時間や気候がコンセプトを表現する
これが、見た目のリアルではなく、建築のリアルです。
💡 結論:良いパースとは「設計の価値を伝える表現」
良いパースとは、美しさだけでなく、
見る人に理解と感情を届け、プロジェクトを前へ進める力を持つパースです。
フォトリアルではなく、**“伝わるリアル”**を目指すこと。
それが、これからの建築CGに求められる姿勢です。
🔗 参考リンク
- Beyond Photorealism: Conveying Emotion and Sense of Place Through Rendering – ArchDaily
- Hyper Real Renderings are a HUGE Problem in Architecture – YouTube
🏢 Basic9studioの視点
私たちは、こう考えています。
✅ パースは「建築の言葉」
✅ 必要なのは「伝わるリアル」
✅ 美しさより「説得力」
✅ 光と構図は設計と同じくらい重要
設計者やデザイナーが、建築の魅力を最大限に伝えるために。
Basic9studioが、その表現をサポートします。

